土地選びのワンポイントアドバイス 16

2024年09月29日

『売れそうもない物件の代表』となってしまった日本中の沿岸部の土地

 

見付太郎「余談ですが東日本大震災以降、磐田市の福田地区、竜洋地区、袋井市浅羽地区は私の営業エリアの中でも特に津波の風評被害を受けており、一般的になかなか買い手が付きづらい状況となっております。

現実問題として当時は避難勧告も出されましたし、その後沿岸部には鉄骨造の避難タワー(掛塚、駒場、大中瀬、福田、松原)や命山(浅羽)もできましたから無理もないことです。

この地域の沿岸部はもちろん、浜松市の沿岸部、静岡県内全ての沿岸部、いえ北海道から九州沖縄まで沿岸部という沿岸部は全て同じかもしれません。海に囲まれた島国の日本全てが同じ状況かもしれません。これらのエリアの物件は価格相場の下落が大きくなっております。」

 

夢見子「私の実家も浜松市中央区の旧南区ですので津波の事は心配です。他人ごとではないです。もちろん天竜川の洪水ハザードマップや芳川・安間川・馬込川の洪水ハザードマップも気になります。」

見付太郎「そうなんですね・・・。確かに心配ですよね。これからマイホームの為の土地選びをする方にとっては少しでも安心・安全な土地を選びたいですよね。そのお気持ちは十分わかります。ただ、ここで一つお伝えしておきたい事が有ります。たまたま今は津波や洪水ハザードについての話題ですが、自然災害のリスクは水害や土砂災害だけではありません。最も代表的な地震をはじめ台風や竜巻の風災害も頻発してます。これらの災害は日本中の至る所で発生しております。実際・・・正直な話、津波や天竜川の洪水ってそんなに滅多に起こることではありませんよね。どのぐらいハザードマップを気にするか?の話ですが・・・。そんなこと言ったら住める場所の方が少なくなってしまいますからね・・・。難しい問題ですけど、生活の利便性やお勤め先へのアクセス等、日常生活の利便性を重視した場合、どうしても洪水ハザードマップは避けられないというケースもあります。

また、最近は少なくなりましたが、浜岡原発周辺エリア(特に31km以内の避難区域内の市町)についても気にする方も実際いらっしゃいます。これは浜岡原発から半径31kmの範囲内が浜岡原子力発電所(御前崎市)の事故に備える避難区域指定されておりますので浜松市は範囲外ですが磐田市を含め東側の市町が該当します。具体的には磐田市・袋井市・森町・掛川市・菊川市・御前崎市・牧之原市・島田市、焼津市・藤枝市・吉田町が該当します。

 

静岡県、浜岡原発の避難区域を11市町31キロ圏に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 

これらについては不動産を扱うものとして非常に憂慮しています。たいへん不謹慎かもしれませんが実際に震災が起きて、

『だけど心配されていたこの地区に実際は津波が来なかった。又は津波被害はごく一部で最悪の最悪を想定した『内閣府』や『静岡県』の津波被害想定ほどは被害が無かった。』という実績が判明するまで相場は下がり続ける・又は既に底値であれば底値で推移することが予想されます。その震災は今日かもしれませんし、明日かも知れません。もしくは1年後かもしれませんし、50年後、または100年後、1000年後かもしれませんが・・・。

勿論、その実績が判明するまでの間、これらの地域の地価上昇は余程の事が無い限り見込めません。

無いと思いますが・・・極論を言えば磐田市に『首都機能を移転する』・『オリンピックを誘致する』・『世界的に有名なテーマパークを誘致する(例えば仮に磐田ディズニーランドとか磐田ユニバーサルスタジオとか・・・)』など、磐田市または周辺都市に今現在検討されていないような劇的なプラス要因が無ければ地価の上昇は見込めません。まして『少子化の時代』、『土地余りの時代』と言われている中、このエリアの地価上昇する要因は今のところ見つかりません。

 

しかし下記の考え等によりあえて納得して買うというのであればもちろん反対はしません。

既に底値感がありますし逆に永住目的であれば広くてお値打ち物件も豊富にあり選択肢が多いエリアかもしれません。

竜洋地区の国道150号線付近は一般的な住宅用地なら売買相場は8~15万、福田地区は5~15万位で探す事ができます。

またこのエリアの土地を購入後、将来売却することがあった場合でも次のような考え方が出来る方なら積極的にお薦めしても良いかもしれません。

 

① 『買った時と同じ金額で売れれば上出来。坪単価8万円で購入したけど30年後同じく8万で売るとしたら土地の利用料とも言うべき固定資産税・都市計画税を払っているだけ。固定資産税評価額も低く、むしろ税金が安いのは嬉しい。

「土地は資産」とよく言うけれど、買った時と売った時の価値が同等なら実質土地代金はほとんどかからなかった。と考えることもできる。

 

むしろ街中で利便性が良い人気があるエリアの土地は買った時と売った時の土地価格相場の変動が大きいかもしれない。磐田市内の人気物件もバブルの時は坪単価60万もしたなんて聞くけど今はせいぜい15~35万だし。まして今後バブルなんて2度とないと思う。損得ではないけど・・・。

 

考えてみれば土地よりもむしろ建物の耐久性による減価償却の方が大きいかもしれない。仮に土地代分だけでも購入時と同等価格で売買できれば土地代分は銀行に貯金していたのと同じだな。

 

土地建物合計の総額も低く抑えることもできるし低金利とはいえ借入金を抑えることもできる。浮いた資金を子どもの教育資金の貯金や自分たちの老後のための個人年金の積立ができるかもしれない。

 

また土地価格が多少値下がりしたとしても、そもそも購入金額が安かったので気にしない。底値で買った株が同等価格をちょっと下回る価格で売却するのと同じ。それよりも快適な住環境を何十年も堪能できたこの土地は自分たち家族にとって良い土地だった。ありがとう。

 

当初は高台で探したが高台は隣接地との高低差が付もの。RC擁壁などの工作物も50~60年の耐久性とすれば、場合によってはそのサイクルで何百万円、場合によっては一千万円以上もメンテナンスコストがかかるかもしれない。

 

高台エリアの大型分譲地のきれいな街並みにあこがれ、またイメージ的に『新しい街は付き合いが楽』という魅力に魅かれ検討当時はあまり工作物の耐久性やメンテナンスコストは気にしていなかったけど、工作物の費用も土地代金に含まれているということは自分の子どもあるいは孫の代に補修または再施工する必要がある。その時、当然何百万もかかる。将来、子どもや孫が『そこには住まない』と言えば売却しなければならないが、『古い分譲地の高低差のある土地ほど売りづらい物件は無い』と不動産屋から聞いたことがある。

 

大規模分譲地は開発行為施工業者が大規模に造成するからこそ分譲地全体でコスト管理しているし、一区画ごとの擁壁費用も分譲地全体で案分され、また販売価格にも土地代金に含まれているため気にも留めなかったが、将来的な擁壁のメンテナンスコストの事は重要事項説明でもほぼ触れられていない。せいぜい『工作物の確認、許可、検査済み証があるから構造的には大丈夫です。』との説明しかないが擁壁付の土地は将来売る時は擁壁の経過年数と耐久性の残存期間の問題が必ず浮上し、買い手から敬遠されやすい土地と聞いた。となると相場より極端に安くしないと売れないかもしれない。そう考えると建売住宅を購入する場合の構造の強度や耐震性、耐久性の質問をした時の業者の『建築確認申請許可、検査済証があるから大丈夫。』と言うのと同じだな。まして隣接地と2m以上の高低差があれば静岡県建築基準条例第10条(がけ条例)の適用を受ける土地として相当な擁壁等の工作物が必要となってしまう。とても心配だ。

 

それに比べ沿岸部は平坦地が多く、高低差も少なく工作物のメンテナンス費用の心配はしなくても良さそうだな・・・。

 

まだまだきりなくありますがこれらの前向きな?考え方ができれば十分検討の価値があるかもしれません。

確かに沿岸部エリアは内陸部に比べ津波被害のリスクが高いのは事実ですから震災が発生した場合の避難対策は常日頃から家族で話し合い決めておくことが大事です。小中学校の屋上や避難タワーなど、とりあえず海抜12m以上の場所にすぐ避難することが大事です。

 

 

見付太郎のいう磐田市の内陸部とはごく一般的な磐田市民の心理的な安心感が得られると推測される、東海道新幹線の堤防より北側で海岸線から概ね5.5km~6kmの距離を指します。

また公式なものは静岡県公式ホームページサイト『ふじの国 静岡GIS地理情報の南海トラフ地震被害想定』をご確認ください。

参考に各自治体のホームページの各種ハザードマップ・立地適正化計画も併せてご確認下さい。

 

竜洋も福田も大半の場所が内閣府や静岡県が作成した津波浸水想定エリアは該当しません。

これは下記磐田市ハザードマップをご確認いただければ明白です。

 

磐田市ハザードマップ|磐田市公式ウェブサイト (city.iwata.shizuoka.jp)

 

また、東日本大震災以降、磐田市でも高さ14mの防潮堤を造成工事中です。

磐田市公式ホームページより抜粋

磐田市では、南海トラフ巨大地震で想定される最大クラスの津波から内陸部を守るため、高さ14mの海岸堤防(防潮堤)を海岸線11kmに整備しています。既存の防災林のかさ上げや補強等の整備(静岡モデル)を県と連携して実施し、1日でも早い防潮堤の完成を目指します。

 

海岸堤防(防潮堤)整備事業|磐田市公式ウェブサイト (city.iwata.shizuoka.jp)

 

上記の磐田市公式ホームページ 令和4年度防潮堤事業計画PDFより一部抜粋

磐田市の海岸沿いは、太平洋に面していることから「津波の到達時間が短い」という特性があります。また「沿岸部に多くの人口・資産を抱えている」という特徴を持っています。 磐田市では、安心して暮らし続けることができるまちづくりを進めるため、静岡県第4次地震被害想定のレベル2※1 に対応した「静岡モデル」※2 の防潮堤を、1日でも早い完成を目指し静岡県と連携して整備しています。

 

1 千年に一度発生するといわれる最大クラスの津波

 

2 既存の防災林、砂丘、道路のかさ上げ等により安全性を向上させる防潮堤の整備方法

 

★ 整備期間 平成26年度~令和8年度 【予定】 ※整備終了年は「市施工分」を表記しています。

  海岸防災林工区における「県施工分」の完成予定は、令和8年度以降の予定です。

★ 必要土量 約315万m3 (必要土量は既に確保済みです。公共・民間事業からの発生土を活用しています。)

★ 堤 防 高 海抜14m (市内の最大津波高12m+せり上がり2mを考慮した高さです。)

★ 事 業 費 約137億円(見込み) ※県負担分を除く 磐田市静岡モデル 海岸防潮堤整備事業の概要(令和4年度事業計画)